6万ポンド投資で動くベルファストのロープ訓練、風力時代の安全人材を育てる

6万ポンド投資で動くベルファストのロープ訓練、風力時代の安全人材を育てる

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ニュースの概要

北アイルランドのベルファストで産業サービスと訓練を手がけるDangleが、北アイルランド投資基金から6万ポンドの出資を受けた。資金は、同社の訓練部門であるDangle Academyの機材購入、訓練施設の整備、有資格の講師の採用、講座の拡充に使われる。アカデミーでは、ロープを使って高所や狭所に近づく産業用ロープアクセス、陸上と洋上の風力発電向けの安全・救助、通信や公益事業のタワーでの昇降と救助の訓練を提供している。金額は大きくないが、再生可能エネルギーの拡大で高所作業の担い手が足りなくなる中、地域に訓練の拠点を厚くする動きとして読める。

引用元: ベルファストのロープ訓練会社が6万ポンドの投資を受け事業拡大(Belfast Telegraph)

分析・見解

6万ポンドが機材と講師に回る意味

6万ポンドは、日本円でおよそ1,200万円前後である。工場や大型施設を建てる額ではない。ただし訓練会社にとっては使い道がはっきりしている。ロープ、ハーネス、降下器、救助用の吊り上げ装置は消耗品であり、定期的な入れ替えが欠かせない。さらに講師の採用費が加わる。資格を持つ講師は現場経験が長く、数が限られる。今回の資金は、派手な設備投資というより、訓練の回転数と質を上げるための地味だが効く投資である。

また、訓練施設の整備は受講者の待ち時間に直結する。人気の講座に空きがなければ、企業は人を現場に出せない。受け皿が増えるだけで、地域の稼働率は変わる。

風力と通信タワーが同じ訓練棚に並ぶ理由

このアカデミーの面白い点は、風力、通信、公益事業という一見別の業界を一つの講座群で扱っていることだ。共通するのは、地上から遠い場所で、人が自分の体を支えながら作業する点である。風車のブレード、携帯基地局の鉄塔、送電設備は、足場を組めば費用がかさみ、時間もかかる。ロープを使えば、短時間で近づける。

そしてもう一つの共通点が、救助である。高所で人が動けなくなったとき、救急隊の到着を待つだけでは間に合わない。落下を止めた後にハーネスで体が吊られたままになると、短時間で血流が悪化するからだ。そのため現場の仲間が自力で降ろす技術が、作業そのものと同じ重さを持つ。訓練会社が昇降と救助をセットで売るのは、この事情による。

洋上風力の拡大が人材の取り合いを生む

英国は洋上風力の導入目標を大きく掲げており、北アイルランド周辺の海域も開発の対象になっている。風車が増えれば、点検や補修に必要な高所作業員も増える。ところが現場に出られる人は、訓練と経験の両方が必要で、すぐには増えない。ほかの産業から人を移すにも、救助や海上での安全といった追加の資格が要る。

ここで小さな訓練会社の強みが出る。大手の国際的な訓練機関は受講料が高く、拠点も遠い。地元で受けられるなら、移動費と宿泊費が減り、中小の工事会社も社員を送り出しやすい。人材の入口を地域に作ることが、結果として工事の遅れを防ぐ。

資金の出し手が公的な基金である点に注目したい

今回の出資元は、民間のベンチャー投資家ではなく、地域経済のために作られた基金である。収益の大きさだけでなく、雇用や技能の底上げを狙う資金だと考えられる。こうした資金が訓練事業に向かうのは、安全人材が風力などの国家的な計画の足かせになりうると見られているからだろう。同様の発想は、日本でも洋上風力の拠点港周辺で、地元の工業高校や訓練校と企業が連携する形で現れ始めている。

ビジネスへの影響

高所作業を外注する企業が確認すべき三つの点

工事や保守を外部に任せている企業は、委託先の作業員がどの資格を持ち、救助の訓練をいつ受けたかを契約前に確認したい。資格の有無だけでなく、更新時期と、救助訓練を実際に行った記録が大切である。事故が起きたときに責任を問われるのは、委託元の管理体制でもある。見積もりの安さだけで選ぶと、訓練を省いた会社に当たるおそれがある。

自社で人を育てるか、地域の訓練先に送るか

社員を高所作業に出す企業は、自前で訓練設備を持つか、外部に送るかを比べる必要がある。設備を持てば自由度は上がるが、機材の更新と講師の確保が重い。年に数人しか受けさせないなら、外部の講座を使うほうが総費用は低くなりやすい。逆に毎月のように新人を出すなら、社内訓練の検討に値する。

また、今回のように地域の訓練会社が拡大する局面は、提携のチャンスでもある。複数社で受講枠をまとめて確保すれば、単価交渉もしやすい。訓練を受けた人を長く定着させる仕組みも、同時に整えておきたい。

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